Nostalgia

Collage works
Groupe exhibition “FERNE VERWANDTSCHAFTEN” at Japanisch-Deutsches Zentrum Berlin.
02.Sep.2018 - 02.Nov.2018
Mixed media


Das Thema ist Nostalgie. Nostalgie steht in Beziehung zum Herkunftshintergrund zur Identität. Wenn ich ein Ornament auf einen gewöhnlichen Gegenstand setze, um ein Gefühl der Nostalgie zu erzeugen, bekommt dieser gewöhnliche Gegenstand eine individuelle Komponente. Ich habe ein paar vertraute Gegenstände aufgegriffen und bestimmte Ornamente hinzugefügt, um ihre nostalgische Wirkung zu verstärken. Sollte dem Betrachter das so von mir Umgestaltete nicht seltsam vorkommen, dürfte er bzw. Sie einen ähnlichen kulturellen Hintergrund haben wie ich.



この作品群はベルリン日独センターで開催されたFERNE VERWANDTSCHAFTEN(日本語訳:遠いつながり)というグループ展に出展したものです。

初めてベルリンにやって来る前、私がドイツに対して抱いていたイメージは、童話の世界に出て来るような石造りの建物が並ぶ風情溢れる光景でした。
ですが、実際のベルリンは汚い落書きだらけの建物が並び、道路には割れたビール瓶やタバコの吸殻などのゴミが溢れ、街角は様々な人種でごったかえす、メルヘンな雰囲気とはかけ離れた、ちょっと小汚い現代都市でした。
気候も風土も、住んでいる人々の人種や文化の多様性も、ベルリンは私の住んでいた故郷の環境とは全く異なります。
であるにもかかわらず、不思議なことにベルリンに住んでいるとふとした風景や物に「あ、ここはあの場所に雰囲気が似ているな」といった親しみや懐かしさを感じることがあります。

このグループ展では、ベルリンらしくありつつも、ノスタルジーを感じられるものを日々の生活の中から見つけ出し、それに日本から持ってきたちょっとした素材を付け足して作品として仕上げ、日本人とベルリンに住む人々が訪れるベルリン日独センターという場所に展示しました。

たとえば道端で拾った錆びついたスプレー缶。
落書きの多いベルリンでは、道端に使い終わったスプレー缶が他のゴミと混ざってよく落ちています。
海辺の町に育って、海岸に打ち上げられた錆びついた空き缶などのゴミをよく見ていた私にとって、錆びた缶はノスタルジーを喚起させるものの一つです。
その錆びたスプレー缶に、日本へ帰国した際に海岸で拾ってきたフジツボを貼りつけ、より強くノスタルジーを喚起させるようにしました。
それは私には親しみや懐かしさを思い起こさせるトリガーとして働いても、海のないドイツの内陸で育った人々にはノスタルジーとはむしろ真逆の激しい違和感やグロテスクさを感じさせることでしょう。
また、ベルリンの道端で拾ったナラの木の枝に、日本で採集した蝉の抜け殻を付けた作品も、セミのいないヨーロッパ北部で育った人々には同様の効果を生み出します。
その一方で、白い外壁の一部にスプレーで描かれた落書きと油性マジックで「参上!!」と書かれた作品は、日本人にとってもベルリンにいる人々にとってもあまり違和感を感じることなく「よく見かける落書きされたただの外壁」として受け入れられるでしょう。
それは「落書きされた白い外壁」が現代においてどこでも見かけられるものであり、ほぼ誰もが目にした経験のある共通体験だからです。

ノスタルジーはその人のアイデンティティと環境の間にある結びつきの一つのかたちなのだと思います。
それは、そこにあるものに懐かしさをただ感じるだけであれば、その人だけの個人的な体験や感傷だけで終わるささやかな現象です。
しかし、ノスタルジーのトリガーとなるものに何らかの手を加えて、ノスタルジーを増幅させようとした瞬間、それは共通の背景を持っていない人々にとっては違和感を持った異物へと転じます。
ノスタルジーを引き起こす要因が地域的なものや個人的なものであるほど、その人が感じるノスタルジーは強くなり、反面、共通の体験を持たない人々は違和感をより強く感じるようになります。
そこから見えて来るものはその人アイデンティティへと繋がる個別な環境の一部です。


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